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診療所開業医は病院勤務医に比べ年収が約1.75倍
医師が年収を上げる方法の一つに、独立し自らの診療所を構えるというものがあります。事実、診療所の開業医は病院に勤務する医師と比べ、年収が1.75倍程度になると言われているのです。
診療所やクリニックを経営する医師は年収等をあまり口外しないため、勤務医と年収比較をすることは簡単ではないのですが、開業医の年収は3,000万円弱ほどが平均額であるとするデータもあるため、2倍近くの差があることはほぼ間違いないでしょう。
勤務医と比較すれば自由度が高く当直やオンコールなども回避しやすくなります。勤務環境が改善されつつ、しかも年収が上がると考えれば、開業医への転職は多くの医師にとって価値ある決断となりうるはずです。
巨額の初期投資が必要になる
開業医になれば、確かに勤務医よりも年収を上げられる可能性が高まります。しかし、一方でリスクがあることも頭に入れておくべきです。
例えば、開業医となるためには相当の資金が必要となります。診療科目によっては初期費用で数千万円を要するケースもあるため、医師免許を持っているからといって、すぐさま独立開業できるとは限りません。
すでに土地や建物などを持っている医師や、自宅での開業を考える医師も例外ではないでしょう。診療所の開業で最も費用を要するのは医療機器です。患者の満足度を上げ、平均年収である3,000万円程度を稼ぎ出すには中途半端な医療機器ではなく最先端のものを導入する必要も出てきます。当然、巨額の初期投資を避けることはできません。
さらには人件費や広告費等もかかり、経費だけでも相当な額を投資する必要が出てくるのです。
医師に対する借り入れ制度等も整ってはいますが、それのみに頼ることもできません。初期投資がどれほどかかるのかを綿密に計算した上で計画を立てていくことが求められます。
経営の戦略をしっかり立てないと破綻する可能性も
費用に関するプランもそうですが、経営戦略にも綿密さが求められます。
- 標榜する診療科目
- ターゲット層
- 保険診療と自由診療の割合
- 集患方法
上に挙げたのは、経営戦略に関係する要素のごく一部です。これだけを考え戦略を立てればいいわけではありません。しかし、最低限考慮しなければならない要素となることは間違いないでしょう。
医師免許を持っていればほとんどの科目を標榜し開業することが可能ですが、その選択を間違えれば当然利益を上げることなどできません。ターゲット層に関しても、年齢層や性別、患者の経済状況などを加味し絞り込む必要があります。
できるだけ多くの患者を集めることは重要ですが、診療科目やターゲット層の幅を広げすぎてしまうと専門性が見えづらくなり、むしろ患者離れに繋がってしまうでしょう。
維持管理費等かかる経費と入ってくるお金のバランスも含め経営戦略を練らなければ、破綻する可能性も否定はできません。そのリスクがあることを常に忘れてはならないのです。
自由診療の分野で成功すれば年収1億円も狙える
開業医の平均年収額を引っ張り上げているのは、自由診療を中心としたクリニックの院長や経営者です。
自由診療分野であれば診療料金はクリニックごとに自由に決めることができ、利益を最大限優先させることもできます。もちろん確かな医療技術を提供しなければ患者を獲得することはできませんが、裏を返せば、質の高い医療技術等を提供することができれば、他院より高い料金設定であっても十分な集患が可能となります。
料金が高くても失敗や後悔のない医療を受けたいと考える人が増えてきているためです。
もしそのような形で成功することができれば、年収1億円も夢ではないでしょう。実際に年収2億円や3億円を超える開業医も少なくありません。
夢はあるがリスクに関しても十分理解しよう
私のところにも、転職するか開業医となるか迷っているという医師が多く相談に訪れます。最終的には本人が決断することですが、私が間違いなく言えることは、「開業は、夢はあるもののリスクも大きい」ということです。
年収アップにフォーカスすれば、これ以上の選択はありません。その反面、結局利益が十分に挙げられず診療所をたたむ医師もいるのです。
そうした負の側面は実に見えにくい部分ではありますが、だからこそ十分に理解した上で決断しなければなりません。