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高額な医師求人の理由
なぜ医療機関が新たな医師に対して高額な収入を約束できるのか、そこには様々な理由が考えられます。
年収の高い求人を出す理由とともに、それを出さざるを得ない理由も含めてまとめてみます。
急な欠員による人員確保のため
医師はご存知の通り免許制であり、国家試験にパスしなければ医療行為を行うことができません。誰でも就ける仕事ではないわけです。
勤めていた医師が辞めれば、その代わりを探す必要に迫られます。当然誰でも務まる仕事ではないため、できるだけ早く優秀な人材を確保するためには高待遇を提示せざるを得ません。
他の医師の負担を減らし、且つ患者へ十分な医療を提供するための人員を確保するために、好条件の提示は必要な措置となるのです。
医師の数は限られているわけですから、魅力的に感じられず応募数が限られてしまうような低収入の求人では、急な欠員を埋めることは困難でしょう。
そこまで高度なスキルを必要としていない業務や科目であるにもかかわらず求人の年収額が高い場合には、それだけ早く医師を確保したいのだと読み取ることができます。
アクセスが悪い立地で医師不足のため
医師が辞めてしまう、あるいは集まらない理由の一つに、アクセスや住み心地の問題があります。地方では特にこれが顕著であり、医師不足に拍車がかかる傾向があります。
こうした医師不足を解消するためには、高収入を提示するしかありません。地方では都市部よりも平均収入が多い傾向も見られますが、その状況を作り出している一つの要因がここにあると考えられるでしょう。
特に家族を持つ医師は、アクセスや住み心地の悪さを嫌います。よほど待遇や条件が魅力的でない限りは地方への転職を考えてもらうことは難しいため、仕事内容には見合わない高額の年収が提示されることがあるのです。
新規開設に向けての募集のため
医療機関を新たに開設する場合、あるいは新たな診療科目を標榜する場合、医師の確保が重要な課題となります。特に規模の大きな病院では一度に多くの医師を集める必要があるため、高待遇・好条件の求人が出やすいのです。
新設される病院では、若く経験の少ない医師を育てる余裕がありません。それはある程度事業が軌道に乗ってきてから考えるべきこととなります。
最初のうちはどうしても経験豊富な医師を集めなければならず、そうした技術や経験を持つ医師はある程度の年収を提示しなければ応募してこないため、高待遇の求人へと繋がっているのです。
訪問診療の体制強化のため
最近では自宅での療養を希望する患者も増えてきており、そうした人たちへの訪問診療の需要も非常に増えてきています。これは高齢化社会が進んでいることにも影響を受けているわけですが、この訪問診療を行うには医師の数そのものが必要となります。各病院が訪問診療の体制を強化するためには、医師の増員が不可欠なのです。
病院は外来患者や入院患者などに対しての診療も行わなければならず、それと並行して訪問診療を行うのであれば、新たな医師の確保が急務となるのは当然です。より多くの訪問診療患者の確保を目的とした時にも、やはり医師の増員は欠かせません。
訪問診療を積極的に望む医師ばかりではないため、訪問診療が行える医師を集めるためにはやはり高待遇を提示せざるを得ないのです。
産婦人科・不妊治療など医師が不足する科目のため
診療科目によって、医師の不足状況は異なります。産婦人科や小児科などではその傾向が顕著であり、そうした科目を標榜する病院では医師の確保が困難な状況となっています。
激務且つ訴訟のリスクもあると考えれば、医師の立場としては避けたい科目となるのも仕方がないのかもしれません。
医師不足が深刻な診療科目の医師を新たに採用するためには、高額の年収提示が必須です。特に産婦人科や小児科など丁寧な診療が求められる分野では医師の質が問われるため、中途半端な年収では経験や知識の豊富な医師からの応募は望めません。待遇の良さが、医師の数と質を上げることに繋がるのです。
不妊治療を受ける人も増えてきており、そうした患者とのコミュニケーションが特に求められる分野の場合、これもやはり条件の良さが確保できる医師の質の高さに繋がります。
こうした分野では地域や病院の規模等に関わらず常に高収入の案件が出ているため、もし当該分野・領域の経歴やスキルを持っているのであれば、転職による大幅な年収アップを実現することができるでしょう。
これら以外にも理由がある場合あり
求人に高額の年収を掲載する医療機関は、概ね説明したような理由や事情を抱えています。もちろんこれだけとは限りません。
- 自由診療のため高額年収を提示できる
- 運営規模拡大のために人員確保が必要なため
- 質の高い医療を提供し十分な集患ができているため
- 高度な医療や最先端医療を提供するため
まだまだ考えられるでしょう。私もコンサルタントとしてあらゆる医療機関の内情を調べますが、その度にそれぞれの医療機関によって事情が異なることを実感させられます。その事情が求人内容に影響を与えていることは間違いありません。
重要なことは、転職する医師が高収入案件の理由について、どれだけ関心を持てるかです。関心を持たなければ転職失敗の可能性が高くなってしまうでしょう。
どのような理由や事情で好条件・高待遇の求人となっているのか、そこに目を向けることができれば適切な判断ができるはずです。