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医師の転職は医療機関だけではなく「メディカルドクター」という選択肢も
転職を考えたばかりの時期や転職活動を始めた当初は、どうしても視野が狭くなりがちです。少し世界を広げてみることで、より多くの選択肢があることに気づくことができるでしょう。
病院にこだわる必要はないのです。製薬メーカーに籍を置き、メディカルドクターになるという選択も考えるべきです。
製薬メーカーに勤めるメディカルドクターは、新薬の開発に関わる重要な職務を任されます。特に治験の実施プランの策定や実施に関わる業務、そこから得られるデータ収集及び分析などが主な仕事内容となり、認可に不可欠な書類作成を任されることもあります。
メーカーにより分担が分かれているケースもありますが、プロジェクトそのものを任されることもあるため、細かな仕事内容は転職先により異なってくるでしょう。
何よりも安全性を保ちながら正しいデータの取りまとめを行い、メーカーの新薬開発に貢献することがメディカルドクターの役割となります。
メディカルドクターの年収について
メディカルドクターの平均年収は1,600万円から2,000万円ほどです。1,800万円前後は受け取れると考えて問題ないでしょう。
もし年収を上げることを最優先事項とし転職を試みるのであれば、メディカルドクターは重要な選択肢の一つとなるはずです。勤務医で1,800万円前後の年収を得ようと考えれば、60代になるまで勤続しなければ難しいのではないでしょうか。
製薬メーカーへ転職すれば、それよりも10歳や20歳若く、同程度の年収を得ることができるのです。
ちなみにですが、大学病院では教授クラスでも1,800万円程度の収入を得るのは困難です。市中病院の院長でやっと1,800万円から2,000万円ほどの年収が受け取れるところが出てきます。
それよりも役職が下の勤務医では1,200万円前後、高くても1,600万円前後なので、メディカルドクターの年収が比較的恵まれていることはわかるのではないでしょうか。
必要なスキル
製薬メーカーはメディカルドクターに、一定以上の能力を求めます。
具体的にどのような能力が求められるのかをまとめてみましょう。
英語力
メディカルドクターを必要とする製薬メーカーは外資系が多くなっています。企業内では外国人が働いていることも多く、コミュニケーションや書類作成などが英語で行われる環境も少なくありません。
英語が堪能でなければ、そうしたメーカーや企業でメディカルドクターとして働くことは難しいでしょう。
リーダーシップ能力
メディカルドクターといっても、任される役割や業務は転職先により異なります。しかし、臨床開発医師にしても安全性担当医師にしても、あるいはプロジェクトマネージャーという役職であっても、リーダーシップが求められることには間違いありません。
いずれのポジションも、他の従業員をまとめる役割を担います。的確なプラン策定やそれに基づいた指示などを出し、指導的役割も担いながら新薬の開発やプロジェクト、あるいは治験などを成功させなければいけません。
リーダーシップがなければメディカルドクターとしての役割を全うできず、プロジェクト等の成果も出すことができないのです。
臨床現場での経験
メディカルドクターを募集する製薬メーカーでは、臨床現場での経験を一定以上持つ医師の採用を優遇する傾向があります。リーダーシップとも関連しますが、経験がなければ指導的役割を果たすことができず、患者や被治験者の安全性も確保できないためです。
製薬メーカーのプロジェクトは、しばしば大きなリスクを伴います。人の健康や命といったものを脅かすリスクがあるため、臨床経験の乏しい医師は採用されづらくなるでしょう。
製薬企業が求めている年齢層とは
病院での勤務経験がある程度求められるということは、製薬メーカーが積極的に採用したがる医師の年齢も必然的に30代後半以降になるということです。海外の製薬メーカーでは年齢等はあまり気にしない風潮がありますが、それでも20代や30代前半の医師を積極的に採用しようとはしないでしょう。
また、40代前半までの医師がメディカルドクターとしての需要が高いと言われています。それ以上の年齢となると採用した企業側もポジションや待遇等に気を遣うため積極的な採用を控える傾向が見られます。
転職サイトによってはMDの求人も掲載している
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